雌阿寒岳
オンネトー湖から雌阿寒岳に向かう。アカエゾマツの林の中の登山道は木の根が複雑に絡み歩きにくい。ゴゼンタチバナが両脇に連続して咲き、ツマトリソウも交じる花の道である。四号目を過ぎた辺りで林床をよく観察すると珍しいランの花も見つけられる。
五合目辺りからは白い花を咲かせるイソツツジが多くなる。阿寒富士が見えだすと、メアカンキンバイ、メアカンフスマなどが咲き、ザレ地にはコマクサのピンクの花が見られる。紫のイワブクロはまだ蕾である。礫地をひたすら登る。雌阿寒岳の南斜面下部には火山観測員らしい人々が数人集まっているのが見える。
火口が見え硫黄の匂いが流れてくる
火口東側の尾根に上がると、眼下に中マチネシリ火口からの噴煙が見え、阿寒湖、雄阿寒岳から北東方向に連なる斜里岳、海別岳、羅臼岳などの山々の重なり。大自然の営みの偉大さに圧倒される神々しい風景が広がっている。火口から吹き出す硫黄を含んだ水蒸気の匂いを感じながらしばし佇み下山にかかる。
火山岩の中をジグザクに下ってゆく。ハイマツの雌花雄花の蕾、白いマルバシモツケが咲いている。イソツツジが多くなり白い花のプロムナードが延々と続くのである。標高999mを過ぎると路は穏やかになり歩くやすくなる植生を楽しむ余裕が生まれてくる。後ろを振り仰ぎ険しい山容を確かめ「厳しかったな~~」と思わず呟いている。下山後に訪れた野中温泉は源泉かけ流しで洗い場はないが、お湯が最高でした。