木彫りの木像

この作品は外国の木像を私が模造した作品である。

ある友人宅でこの木像を見て、同じものを作って見たいという気持ちがふつふつと湧いていた。うちの店に、仕事帰りに来店されると必ず木の匂いがするお客様がいる。大工さんか木工関係の方だと思っていた。「厚み130㎜X高さ400㎜X幅260㎜ほどの木材が手に入る木材屋さんは無いでしょうか?」と尋ねると、「明日にでも持ってきたるわ!」「えっ!」と絶句。次の日、そのお客さんが大きな木材を肩に担いでやってきて「ここに置いとくで~」と言って帰りかけたので、「お金は、御礼はどうすれば良いですか?」と尋ねると「出来た作品を見せてくれたら、それで良いよ」と言って立ち去る。早速、木像写真をもとにして木材に下書きをして切断すると、足が短く腕も頭も小さい。カメラで近づいて写真を撮ると上下が縮んで映る事に気がついた。だから手足が短いのだ。

1ヶ月後に来店されたお客さんに「写真を基に作図して切断したので手足が短くなってしまいました」と伝えると「そうか、また持ってきてあげる」と二つ返事。しかし、インターネットで調べると、あの大きさの木材ならば3~6万円は下らない代物。なんと浅はかなお願いをしているのかと嘆いたが後の祭り。その後、木像が完成し、見て頂くと「良うできている、中々のもんや!」。その後、図々しくも再び木彫りの材料をお願いして出来上がったものが木地を生かした無着色のカモである。

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